ロゴマークの商標登録と費用

ロゴマークと聞くと、特定の企業のマークを連想する方も多いでしょう。しかし実際にはロゴマークの定義は曖昧で、ロゴ、ロゴマーク、シンボルマーク、ロゴタイプなどが同じ意味で使われています。ロゴマークはほとんどの場合、商標登録されています。

なぜ商標登録は必要なのでしょうか。費用や自力で商標登録する方法などをまとめてみました。

ロゴマークのコンセプトの考え方

ロゴマークとは

ロゴマークは和製英語で、企業やブランドのイメージを図案化したものです。混同して使われる言葉として、ロゴタイプ、シンボルマーク、ロゴがあります。ロゴマークはシンボルマークやシンボルマークとロゴタイプを合わせたものと同じ意味で使われることもあります。

またロゴタイプの中でも特に象徴性の高いものをロゴマークと呼ぶこともあり、定義は定まっていません。ロゴタイプは社名や商品名の文字を図案化したものです。SONYやKIRIN、CanonなどCMでもよく見かけますね。

ロゴは「言葉」タイプは「活字からなる」という意味で、もともとはイギリスの活字鋳造所で使われており、2字以上の文字や単語を1本の活字にしたものをロゴタイプと呼んでいました。ロゴタイプは文字をデザイン化して印象に残りやすく、社名や商品名を覚えてもらうのに適しています。

シンボルマークは「象徴」と「記号」を組み合わせた和製英語です。家系や個人、会社などを象徴する図案で、家紋もこれに当たります。厚生労働省や環境庁などにもシンボルマークがありますね。シンボルマークは、デザインの自由度が高くイメージを伝えやすくなります。

ロゴは、もともとはロゴタイプの省略形でした。従って社名や商品名などの文字を図案化したものでしたが、現在ではロゴタイプ、ロゴマーク、シンボルマークの総称として使われています。

商標登録とは

商標とは「あきないのしるべ」と書く通り、見た人が「この商品についているマークはあの会社だ」とか「同じマークがついているからこの商品も同じところが出している」など、商品やサービスの出所を知るための目印になるマークのことです。

名前やロゴだけでなく音や色なども、出所の目印になる場合は商標として認められます。商標登録は商標を守る国の制度で、商標を国に登録することで国から商標権を与えられ独占的に商標を使用することができるようになります。

これによって商標とビジネスを守ることができます。管轄しているのは経済産業省の特許庁です。登録の例には文字商標、図形商標、結合商標、特殊な書体の文字商標などがあります。文字商標はロゴタイプ、図形商標はシンボルマーク又はロゴマーク、結合商標はロゴマーク、特殊な書体の文字商標はロゴタイプの中の象徴性の高いもの又はロゴマークと考えることができます。

商標登録の必要性

商標はマークによって消費者に商品やサービスを想起させます。登録されていない商標は誰でも使うことができるので、同じマークや類似のマークを使われてしまうと消費者が自社ブランドのマークから他のブランドを思い浮かべることになります。

消費者は、自社のよいイメージで他社の商品やサービスを買うことになりかねません。逆に商標を模倣したブランドのイメージが悪ければ、自社ブランドに傷がつく恐れがあります。商標登録していない場合に同じ商標を別の企業が登録してしまうと、先にその商標を使っていたとしても使用できなくなります。

マークを模倣する企業が現れても法的に保護することができず、自分の会社の商標を使うのに、他の企業にライセンス料を支払うことになるかもしれません。相手の権利の取り消しには法的な手続きが必要になります。2020年の東京オリンピックのロゴマークとして選ばれた作品が盗作だとして騒動になりましたが、ロゴマークの場合にはマークの著作物性が問われ著作権法では保護されないケースも出てきます。

そっくりに見えるロゴタイプだったとしても、原則として文字フォントの著作物性を裁判所は否定してます。商標は商標登録で守るべきものです。商標登録をすれば、まったく同じ商標だけでなく類似の商標を他社が使うこともできなくなります。

商標登録のデメリット

個人で商標登録をする場合には、登録者の名前や住所が公開されてしまうというデメリットがあります。商標を登録する際には同じ又は類似の商標が登録されていないことを確認する必要があるため、商標登録の内容はネット検索で誰でも見られるようになっています。

住所に関しては、事務所などを「居所」として登録することも可能です。

商標登録の方法と費用

商標登録の方法には自分で登録する方法と専門家に依頼する方法があります。自分で登録を行うには書面で行う方法と電子提出の2つがあり、書面で行う場合については特許庁が「商標登録出願書類の書き方ガイド」を作成しています。

電子提出には特殊な事前準備が必要なので書面での提出が無難です。登録を自分で行えば、専門家に支払う費用を節約できます。書面で行う場合は、まず「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」で検索して類似の商標登録がないかを確認する事前調査を行います。

「商標登録願」を「知的財産相談・支援ポータルサイト」からダウンロードして必要事項を記入します。出願方法は特許庁の受け付け窓口に提出する方法と郵送があります。書類を提出すると実態審査が行われ、登録査定を受けて登録料(設定登録料)を支払うと商標の登録が行われ商標権が発生します。

専門家に依頼する場合の専門家は、弁理士と弁護士です。費用はかかりますが、アドバイスを受けることができ確実に登録することができます。商標登録にかかる費用は、特許庁への支払いが「出願手数料」と「設定登録料」、「電子化手数料」です。

電子化手数料はオンラインで可能な手続きを書面で行う場合に発生します。出願手数料と電子化手数料は出願の際に必要で、商標登録願に特許印紙で貼りつけます。出願手数料は3,400円と商品やサービスの区分の数×8,600円です。

登録されなかった場合でも返還されません。電子化手数料は1,200円と700円×提出書類の枚数です。設定登録料は10年分を一括納付する際は、区分の数×28,200円、5年分ずつ前期・後期に分割して支払う場合は、どちらも区分の数×16,400円です。

商標権存続期間の更新登録にも登録料がかかります。更新登録料は、10年分の一括納付の場合は区分の数×38,800円、5年ごとの分割納付の場合は前期・後期とも区分の数×22,600円です。専門家に依頼する場合には専門家への支払いが必要になります。

ロゴマークの商標登録をしよう

ロゴマはークは消費者に自社の商品やサービスを想起させ、自社のブランドを象徴する大切なものです。登録しないで使用すると他社に勝手にロゴマークを使われたり、類似のロゴマークをつけられる可能性があります。商標登録は早い順なので他社に同じ商品のロゴマークとして登録されると、先に使っていたとしても使う権利がなくなります。

他にも様々な不都合が生じるため、忘れずに商標登録を行いましょう。